【汗と気化熱】扇風機の使い方と水の気化熱を正しく理解する|子供と大人の熱中症対策

汗が蒸発すると涼しく感じる気化熱とは

手持ち扇風機を持つ着物を着た女性

ヒトは体から熱を逃がすために汗をかきます。汗を蒸発させることで体から「気化熱」が奪われるからです。この記事では気化熱が熱を奪うしくみを詳しく説明します。

ヒトの肌には汗を出す汗腺がある

ヒトの肌には、汗を出すための汗腺が300~400万個もあり、体の熱を逃がす重要な働き(気化熱の働き)を担っています。ヒトの肌の表面に溜まった熱(図のピンク)が、汗の働きで逃げていくしくみを説明します。

体温が上昇すると汗腺から汗が出る

体温が上昇すると、汗腺から汗が出てきます。汗の主な成分は、液体の水です。

汗の水分は熱を取り込んで蒸発していく

風で、汗を気化させる(蒸発させる)と、水が体のを奪っていくため、涼しくなります。この奪っていく熱のことを、水の気化熱と呼びます。

水の気化熱とは

液体の水が、気体になって飛ぶためには、エネルギーをつかまえる必要があります。このエネルギーのことを「気化熱」と呼びます。気化熱とは、体に変するための熱エネルギーという意味です。

汗が出ないと熱中症になりやすい

もし、汗が出ないと、水が気化しなくなります。風をあてても、熱が逃げにくくなるため、熱中症の危険が高まります

対策方法:濡らしたタオルや布を肌にあて、水を扇風機の風で蒸発させて熱を逃がす

水に濡らしたタオルが汗の代わりに肌に水を補います。

タオルの上から風をあて、気化熱を奪う

風がタオルの水を気化させて、肌から熱を奪います。汗が少なくても気化熱で体を冷やせます。

子供は汗腺が未熟なので、扇風機の風だけあてるのは危険

汗を蒸発させて体を冷やせる大人とは違って、子供はまだうまく汗をかけません。そのため、ただ扇風機の風を当てるだけではうまく体を冷やせません。

子供は、水に濡らした帽子に風を当てて、頭を冷やす

扇風機の風は、水で濡らした帽子へ当てましょう。 水が気化して帽子が冷やされます。 下の実験では、帽子の温度が -7.8度も下がりました↓

夏のベビーカーに乗せた子供の熱中症リスクを評価するために、ベビーカーに人形を乗せて、水で濡らした帽子を被せて、ベビーカー扇風機で風を当てた時に、帽子の温度が7.8度低下することを実験で示すことで、ベビーカー扇風機を取り付けるベストな位置を見出した様子

濡らす帽子は水が気化しやすいポリエステル製がおすすめです(綿は不向き)。特に子供の脳は熱に弱くダメージを受けやすいため、頭を冷やすことが非常に大切です(冷えピタなどの冷感グッズでは冷えない

抱っこ紐で抱っこされる赤ちゃんの頭に水で濡らした帽子をかぶせて抱っこ紐の背中につけた扇風機で風をあてて水の気化熱で帽子を冷やして頭を冷やす様子

水で濡らせるベビーケープに扇風機の風を当てる

濡らしたベビーケープに風を当てて水を蒸発させると、水の気化熱で冷やされてで涼しくなります。テーマパークなどの長時間の外出では保冷剤がもたないので、水で濡らせるベビーケープがあると安心です↓

ディズニーランドでベビーカーや抱っこ紐の暑さを防ぐケープ

水で濡らしたケープに扇風機の風をあてると、水の気化熱による冷却効果で6.6度冷えることが分かりました↓

ベビーカーに濡らしたベビーケープを掛けて扇風機の風をあてるとマイナス.6.6度も冷えたサーモグラフィの実験結果

子供の服が濡れないようにするために、ケープ全体を濡らすのではなく、足元だけ濡らせば十分です。扇風機を使ったベビーカーの暑さ対策についてはこちらの記事をご覧ください。

濡らしたベビーケープに風を送り込んで涼しくする

抱っこ紐に付けた日よけケープのポケットにエアシャツ扇風機をつけて風を送り込む様子

ケープに通気性のあるメッシュポケットがある場合は、そこから中へ風を送り込むことができる「エアシャツ扇風機」が便利です↓

屋内施設は冷房が効いているため、濡れたケープは外しましょう。ケープは乾いた屋内用と、濡らして使う屋外用を使い分けるのもよい方法です。

水の蒸発は、氷嚢で冷やすより5倍の熱を奪う

氷嚢は温度が冷たいだけで、奪う熱量は少なく、水の気化熱には及びません。水は、固体から液体(氷から水)に変わるよりも、液体から気体(水から蒸気)に変わる方が、5倍以上の熱を奪います。このため、氷嚢で冷やすよりも、体を水で濡らして風を当てる方が、より多くの熱を逃がすことができます。

水の蒸発と氷嚢を上手に使い分けよう

例えば、ティッシュペーパー1枚分の水の蒸発で肌を冷やすと、氷5個を入れた氷嚢で冷やすのと同じ量の熱を奪います。氷嚢は、冷やしすぎて血管を収縮させ、血液の流れを止めてしまうため、体の奥の熱を逃がすのには適していません。涼しい場所で体から熱をとるには、水の蒸発が適しています。一方、氷嚢は皮膚の炎症を抑えたい時など、局所的に冷やすに適しています。

NHK「あさイチ」で実験!水と扇風機で気化熱

シャツに風が入る扇風機(エアシャツ扇風機)を使ってNHKが実験しました↓

扇風機の風をシャツに入れると、風がタオルの水を気化させて気化熱を奪うため、すごく冷えました。